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【水稲苗】事例と写真で見る 失敗しない 水稲苗づくり 浸種~催芽編 ―浸種~催芽で失敗しないための4つのこと―
2021-07-12
浸種と催芽とは
浸種とは、休眠状態の種もみに水分を吸収させ、発芽の準備段階に移行するための工程です。
催芽とは、人為的に発芽させること。ここでは均一な発芽を目指す工程のひとつであると認識します。
浸種~催芽は、発芽揃いや出芽率に大きく影響する重要な工程で、苗づくりにおける重要な工程のひとつです。
失敗しないための4つのこと
・浸種水温は10℃~15℃を厳守 ・品種ごとの積算温度を守る ・酸欠に注意 ・催芽後半期は種もみの状態を要確認 |
以上気を付ければ、浸種~催芽の作業工程において失敗することはほぼないといえるでしょう。
では、以下の実際の作業工程を例に見ていきましょう
〇作業の流れ 4ステップ
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以下 写真で見る事例:コシヒカリの浸種~催芽 作業の流れ
1. 種もみを準備
今回使用する種もみは種子選別・種子消毒済みのコシヒカリを用意した。
コシヒカリの積算温度は100℃。(品種により積算温度は異なる)
【積算温度=水温×日数】
(例:積算温度100℃=水温12.5℃×日数8日)
☆浸種時最も気を付けるべきは水温である。
・水温が10℃未満の場合→ 種もみが休眠状態に入り、発芽が著しく悪くなる。 ・水温が15℃を超える場合→ 積算温度に達する前に発芽してしまう。 |
その他の注意事項として、
浸種用のもみ袋に入れる際に、種もみを多く入れすぎないよう注意する。
後の浸種と催芽で量が多いと、もみの状態が均一にならないので、ひとつのもみ袋に多く入りすぎないよう注意する。
2. 浸種
3. 酸欠対策
酸素の循環設備があるものに関しては気にする必要はないが、
写真のようにバケツ等で浸種する場合には、水量が少なく、循環もないので酸欠になりやすい環境だ。
こういった場合、最低でも一日1回~2回程度もみ袋を持ち上げ、
もみ全体を空気にさらす事で、種もみの酸欠が抑えられる上に、袋内のもみも移動して、種もみ全体の浸種状況を均一に近づける事ができる。
その他にも、水を入れ替えるという手法もあるが、
入れ替え時に水道から出した水は低温であるケースが多いので、水温が10℃以上を保つ事ができるならば酸欠防止として実施する事も効果的である。
浸種終了の適期は写真のもみのように、半透明になり、胚乳が透けて見える程度。
(下の写真は 7日×12℃=積算温度84℃時点のもの)
4. 催芽
今回の催芽では加温機を使用する。
もみ袋を平たく広げ、温度が均一にいきわたるようにする。
庫内温度を30~32℃に設定し、約20時間でハト胸になりますが、品種や催芽環境によって催芽状況は異なるので、種もみの様子を確認しながら、ハト胸状態に調整しよう。
催芽機や、お風呂の残り湯で催芽させる際にも温度管理と種もみの状態管理は徹底! |
催芽が始まると、知らぬ間に一気に伸びていることも多いので、催芽の後半期は特に注意が必要だ。
下の写真は30℃×12時間、加温機で催芽した種もみの状態。
加温機での催芽は、加温中にもみ袋を天地返ししたり、催芽前に30~40℃程度の湯に湯通しする等、もみ袋内の温度が常に一定に保たれるようにすると良い。
浸種~催芽での管理が良いと、写真のような芽のバラ付きは少なくなる。(下の写真では天地返しをしていない)
〇 まとめ
・浸種水温は10℃~15℃を厳守 →10℃未満はもみが休眠。15℃を超えると発芽する。 ・品種ごとの積算温度を守る →【積算温度=水温×日数】 ・酸欠に注意 →もみ袋を持ち上げたり、水の入れ替えを実施 ・催芽後半期は種もみの状態を要確認 →催芽が始まると一気に伸びるので、後半期は特に種もみの状態を確認しつつ、ハト胸状態に仕上げる。 |
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