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お役立ち情報ブログ

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【水稲・培地】水稲培土で黒い土のものと茶色い土のものがあるけどどっちが良いの? 3種培土の栽培比較実験をしてみた

2022-02-01
1. 概要
 今回実験するのは、水稲培土の中でも見た目から大きな違いのある培土を3種用意した。
栽培実験にて培土による生育の様子を考察するものである。

■今回実験する培土
①黒色粒状培土 (株)ナガタ製 水稲育苗用培土「サンソイル NS-1」
②茶色粒状培土
③粉状培土

以上3品目を同時に栽培試験し、その培土の特性や、結果を分析する。
※黒色粒状培土は自社製品を使用するが、忖度無しで自社製品のデメリットも後述する。



■育苗日程
・播種日  3/23 キヌムスメの種もみを各130gで播種
・出芽   3/24~3/25 蒸気式育苗機にて30℃約2日間出芽
・緑化~硬化  3/26~4/26

以上の工程で同一環境下にて栽培比較を行った。
2.使用した培土の概要

    黒色粒状培土 「サンソイル」
■1箱当たり肥料成分
・窒素 1.4g
・リン酸 2.5g
・カリ 1.5g

■特徴
黒ボク土と真砂土が主原料の培土。
培土自体焼成されているが、そこまで硬くなく吸水性も良い。
潅水(水やり)時に強い水圧をかけると、粒が溶けて表面部を溶けた土が覆ってしまうので、ノリ剤等で粒状化したものや焼成が強い土と比較すると、潅水には気をつける必要がある点は扱いにくいデメリットである。それと引き換えに吸水性や保水性が良いのはメリットであるので、潅水の頻度はある程度少なくすることができるので、管理上省力的な培土である。



    茶色粒状培土
■1箱当たり肥料成分
・窒素1.3g
・リン酸 3.0g
・カリ 1.6g

■特徴
赤土等が主原料の培土。
粒は硬く、やや光沢がありノリ剤等でコーティングしてあるような質感だ。潅水時に強い水圧でも粒形が崩れることはないが、吸水性が悪いので、乾きも早い。
乾きが早い分潅水の頻度は多くなるが、水をやりすぎてしまったりといったケースにおいては管理上良い場合もある。


    粉状培土
■1箱当たり肥料成分
・窒素1.4
・リン酸2.4
・カリ2.1

■特徴
商品の原材料には黒ボク土主体と記載があるが、どちらかといえば関東ローム層の火山灰由来の赤土といった感じの色味である。
有機質な原材料で自然と団粒構造をなしている部分も見受けられるが、粒状培土と比較すると粉状で通気性が劣るので、透水性が悪く、潅水時表面に水が滞って底面まで水分がいきわたっているか判断が難しい。粉状培土の扱いに慣れていない私からすると上級者向けの培土だと感じた。




3.出芽時の写真
黒色粒状培土と茶色粒状培土では出芽に大きな差はない。
粉状培土はやや根上がりした。覆土量が少なかったためと考えられる。
 
4.育苗日ごとの写真
播種後14日、25日、34日の写真。
5.実験結果まとめ
全体的に寒い時期での育苗であり、栽培環境も適しているとはいえない環境下での栽培であったため、当初の予定より育苗期間は延長した。

最終的に苗代が10~11㎝と短く仕上がり健全な苗とはならなかった事もあり、栽培環境と栽培管理者による苗の生育の違いは大きく、今回の比較実験はひとつの参考程度と捉えて考えてほしい。


以下に培土の特性をまとめたので、あなたの管理方法や設備、当該地域の栽培環境に合ったもので、あなたに合った培土選びの参考にしてほしい。

〇黒色粒状培土「サンソイル」
・3種の中で最も保水性が良く潅水頻度は少なく済む。
・粒が柔らかく、特に床土入れ時~苗が短い期間での潅水は強い水圧をかけて粒が溶けないよう注意が必要。

〇茶色粒状培土
・栽培期間満了時でも、粒が固く苗を持ち上げると覆土の土がこぼれるので田植え時等の苗の運搬時は気になる点だ。
・吸水性・保水性が黒色粒状培土よりは劣るため、潅水頻度は多く手間がかかった。

〇粉状培土
・播種時から覆土量を調整する際に粒状培土とはやや感覚が違い、注意が必要。覆土量が少なければ根上がりするし、多すぎると芽が土ごとかたまって持ち上げてしまうので、適量に調整が必要。
・緑化~硬化期間においても粉状であるため表面部は乾きやすいが、底面部までの水分量の把握・調整が難しい。
・粒状培土に慣れているとやや使い勝手が違うので難しく感じた。今回の結果は根張り等悪かったが、使用方法・管理上に問題があったと認識している。


6.培土選びのポイント
〇黒色粒状培土「サンソイル」
  →保水性良いので、水やりの頻度を減らしたい場合はおすすめ。特に大型育苗施設等で、苗の管理枚数が多い場合はおすすめ。

〇茶色粒状培土
  →保水性は悪いので、水をやりすぎてしまう人はおすすめ。

〇粉状培土
  →粒状培土に慣れている人は少々扱いが難しいので、以前から粉状培土に慣れている人はおすすめ。


※今回は3種の見た目の違う培土の試験を行い、その特性に大きな違いが見られた。
しかし、例え同じ黒色粒状培土であっても各社肥料成分や粒の硬度・粒径の違いがあるので、管理方法(特に保水性の違いによる潅水頻度)に違いがでるので、今回の実験結果のように培土の色や形状による生育差は一致しない。


培土の選択で最も重要なことは、
自分の栽培環境や栽培手法に適した培土選びである。




今使っている培土より根張りの良い苗ができたと、ユーザー実績のあるおすすめの培土
→株式会社ナガタ水稲育苗用粒状培土 サンソイル

    

 
 
  
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