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【水稲苗】播種から苗を仕上げるまでの育苗攻略ガイド 4つの工程別管理方法解説
目次 1.概要 ~良い苗とは~ 2.工程解説 2-1.播種・床土入れ 2-2.出芽 2-3.緑化 2-4.硬化 3.まとめ |
1.概要 ~良い苗とは~
古くから農業生産において、作物の出来は苗づくりで半分決まると語られており、これを「苗半作」と呼び、水稲育苗においてもこの考え方はとても重要視されている。
では水稲において健康でいて水田での活着の良い苗とはどのようなものか、これを“健苗”と呼称し、我々はそれに適した培土の生産を研究・開発してきた。しかしこの“健苗”とは【水稲培土×管理方法】でその苗の出来は決まってくる。今回はその“健苗”を作るための管理方法を解説する。
今回は広く使用されている水稲育苗用培土を使用した播種から苗を仕上げるまでの管理手法について記述する。
●健苗の定義:育苗期間は播種から20~25日程度とした稚苗の状況として、以下の条件をすべて満たす苗。
・苗代12~13㎝ ・2.5葉 ・茎が太く短い ・根張り良くマット形成良好 ・葉の色が育苗中期よりやや色あせた状態で田植え時に活着の良い状態の苗 |
水稲育苗用粒状培土(サンソイル)を使用した 健苗生産のポイント。
(本稿では種子消毒・育苗箱消毒・浸種・催芽の工程は省く 健苗のしおりを参照)
2-1.播種・床土入れ
右図の分量を目安に育苗箱に入れ、播種してください。
・床土入れの注意点
- 床土入れ後一箱当たり1ℓ程度箱の底まで浸透するよう潅水(水やり)してください。
- 蒸気式育苗機の場合水分量がやや少なめでも構いません。
- 必要に応じて薬剤の使用を考えてください。
・覆土の注意点
- 覆土量が多すぎると:粒状の崩壊や通気性の悪化による苗の生育不良につながります。箱のふちと覆土間に隙間のできるよう覆土してください。
- 覆土量が少な過ぎると:根上がりや徒長の原因となりますので、種もみが隠れる程度まで覆土しましょう。
- 覆土後の潅水は根上がりの原因となるので控えましょう。
2-2.出芽(2~3日)
育苗機や出芽室で棚積方式の加温出芽法が最も良い。
・出芽の注意点
- 30℃~32℃で加温してください。
- 育苗箱の積み重ねは10段位が温度のムラがなく適当です。最上段に土を詰めただけの箱をのせてください。
- 芽の長さが1cm程度に伸長したら緑化に移行してください。
2-3.緑化(2~3日)
緑化初めに直射日光に当てると白化現象がおこりますので育苗シートや
寒冷紗等で遮光と保温をしてください。
・緑化の注意点
- 昼20~25℃ 夜15~20℃ となるよう管理してください。特に夜間10℃を下回らない様管理してください。
- 潅水は午前中に1ℓ/1箱 程度行ってください。(表土が乾かぬよう適宜潅水)
- 午後に潅水をする場合地温の低下を抑えるため少量にしてください。夜間の水分量が多いと徒長や根張り不足の原因となります。
- ハウスの開閉時間目安 開10時 閉15時。特に午後の閉める時間は15時を過ぎると外気温が徐々に下がっていきますので、夜間のハウス内温度・地温の確保のために早めに閉めてください。
2-4.硬化(14~18日)
本葉が2枚出始めたら徐々に外気に慣らしてください。
・硬化の注意点
- 晴天の場合、潅水は毎日午前中に1~2回程度たっぷりとかけてください。曇天・雨天の場合は状況を見て潅水。
- 苗の状況を見て、加温や潅水を調整して健苗に仕上げてください。
育苗のポイント
| 出芽期 | 緑化期 | 硬化期 | 順化期 | |
日数 | 2~3日 | 2~3日 | 10~12日 | 4~6日 | |
苗の大きさ | 出芽長1㎝ | 出芽揃~0.8葉 | 0.9~1.8葉 | 1.9~2.2葉 | |
温度 | 昼 | 30~32℃ | 20~25℃ | 20~25℃ | 外気 |
夜 | 15~20℃ | 15℃ | |||
日光 | 必要なし | 強光をさける | 必要 | 必要 | |
水 | 十分に潅水 | 適湿 | 表面が乾かないようたっぷり |
NS-1 | NS-2 | NS-3 | |
チッソ | 1.4g | 0.8g | 0.0g |
リンサン | 2.5g | 2.5g | 0.0g |
カリ | 1.5g | 1.5g | 0.0g |
ph | 4.5~5.5 | ||
適用範囲 | 寒地 | 暖地 | 無肥料 |